夜勤の装備はモンエナとアリナミンA
夜勤だった。
モンスターエナジーは当然必要な装備。それに今回はビタミン剤を加える。アリナミンAというのを初めて購入した。170粒で4500円。仕事は17時から始まり、7時に終わる。
ほぼ全員が寝静まった21時から走り始める。定時のルーティンであるオムツ交換は楽。困ったのは頻尿のお年寄りで、5分間隔でトイレに行きたがる。こちらも大変だが、相手もつらいだろう。寝る暇なんてありはしないのだ。
体調が悪く、タスケテと叫ぶお年寄りもいる。1時間ほど付き添えば治まるが、それまで動けない。寝ない人も起きてきた。一度起きてしまったら、彼女は朝まで起きている。その間は話し相手になってあげなければならない。
寝ているとはいえ、20人が相手だ。こうなるのは仕方ない。だが、この夜の出口はどこにあるのだろう?施設のなかを走り続けた。ランニングをやっていて良かったと思う。
それにモンエナとアリナミンAが効いているのか、体を動かし続けることが出来ている。夜勤には必要な装備となるだろう。
3時のオムツ交換を終える。眠れない人を眠らせる事を諦める。服を着替えてもらい、テレビをつけた。
走り続ける。転倒リスクを抱えている状況で、1分1秒が貴重だ。すべての行動を最速で終わらせる。
朝に向かって走る。やるべき行動、やっておく準備、すぐに4時になりおむつ交換。そろそろ起床する人がでてきた。起床してもらい、テレビをみて朝をまってもらう。
すぐに5時になった。最後のオムツ交換。ここから先は1分たりとも余裕が無い。起こす、起こす、起こす。起床時薬の提供。朝ご飯の準備。居室のととのえ。アラームが鳴った。いつも自分がおきる時間だ。アラームを止めに行く時間が無い。
身体は動くが、気持ちが疲れてきた。最後の1人を起こしたあたりで、早番がやってきた。申し送りをして終わる。
頭はキンキンに覚醒していて、まったく眠くない。朝日が差し込み、体を貫通する。それがなんとも頼りない強さで、マジかよと思った。朝日って、もっとこう、純粋な毒々しさにあふれていたんじゃないか。今の自分には、ただの日光だ。
バイクにまたがり、エンジンをかけた。どこかで、2時間ほど眠りたい。
介護施設でおすすめのテレビ番組その1「BS日テレ こころの歌」
仕事は毎日変化している。それも人間相手、しかも認知症を患っている利用者なのだから予測がつかない。
とつぜん変なことを言い出したり、怒り出したりするのだから目が離せないのだ。でも、現場はいつも人手が足りない。1人につきっきりになることは不可能となる。
そこで重要なのがバランスだ。この作業に、どれぐらい時間を使えるのか?もし使ったら、あとでどれぐらいおしてくるのか?肌感覚でバランスを感じないといけないのだ。
1人1人の気分の変化を感じれるようにアンテナを張っていないといけない。そこで思うのだけれどテレビって邪魔じゃあない?ってことだ。
邪魔なテレビ番組
お年寄りが起きている時間帯、テレビがつけっぱなしになっていることだろう。見ているスタイルは人それぞれで、ぼーっと流し見ている人もいれば、なにか言いながら見ている人、テレビの中に入っちゃってる人もいる。
テレビの影響は大きい。それはテレビショッピングがあれほど流れているのを見ればわかる。健常者にとって「だれが買うの?」と不思議なショッピング。買うのはお年寄りだ。通販で破産する認知症のお年寄りのケースは後を絶たない。
で、商売の基本は相手に不安を与えてニーズを生み出すことなのだ。これは生命保険の営業をしていた時に教えてもらったこと。テレビショッピングも同じ構成になっている。
不安を押し付けられるお年寄りたち。すぐにチャンネルを変えたくなった。だけど、変えた先もテレビショッピングだ。ほんと、日中ろくな番組をやっていない。
介護にお勧めのテレビ番組
そこで施設のテレビにHDDレコーダーを勝手にくっつけて、後出しで許可をもらうことにした。録画したのは歌番組。お年寄りの大好物だ。NHKのBSにっぽんの歌、武田鉄矢の昭和は輝いてた、八代亜紀のいい歌いい話、サブちゃんと歌仲間、いい歌番組は大体BSにある。
その中でも秀逸なのはBS日本テレビのこころの歌だとおもう。これは芸術のようなテレビ番組だ。こんな番組があることを介護の仕事をして知った。
https://twitter.com/KOKORONOUTA_BS4?s=20
毒だらけのテレビ番組の中で、美しさの結晶のような歌番組だと思う。内容は、ただ歌っているというもの。直立マイク片手に歌い、演出を一切排除したようなスタイル。初めて観たときは「なんだこれ?」と思ったが、しだいに「これ最高!」に変わった。
毒がないから、安心できる。落ち着かない利用者に見せても安心だし、日本人の遺伝子に響く歌なのだ。
最近では利用者に見せるふりをして自分で楽しんでる。MCやテロップがなく、説明すらなくいきなり歌い始め、そして終わる番組にはまるとは思わなかった。
この現実離れしたこころの歌をぜひ知ってほしいのです。きっと日本中のお年寄りに響くから。
ヘルプミーヘルパーを読んだ
評価の高い介護漫画は全て読んでいこうと思う。
今回はヘルプミーヘルパー(木山道明著)
この筆者も本業の漫画が苦しくなり、介護の世界に足を踏み入れている。
年齢は40代。私と同じだ。
筆者が働いているのはデイサービスの夜勤で、介護度が高い人を相手にしている。
こうゆうのを説明してくれる漫画はいいですね。経験したことのない世界に足を踏み入れているみたい。
もちろん、漫画としての面白さもしっかりとあるので、とても読みやすい。なんども読み返してしまう。
ためになったのは看取り介護の話。私の働いている特養でも、きっとこれから増えていくのだろう。
ということで、しっかりと漫画として面白さをもちつつ、介護の勉強にもなる本でした。
介護の夜勤はそれほど眠くならない
40を超えて、夜勤をやる。さぞかしキツイと予想していました。昨年は工場で夜勤をやっていたのですが、その時の眠さったらハンパなかったです。がりがりとブラックタブレットをかじり、ブラックコーヒーを飲み、1時間ごとの機械チェック。自由な時間は多かったのですが、眠さとの戦いはつらかった思い出があります。
介護の夜勤でも辛い目にあうはず。そう思ったのですが、実際やってみるとそれほど眠さはやってきません。さすがに3時とかは眠くなるのですが、やるべきことが多いので、眠さを感じる時間がそんなにないのです。
エナジードリンクを飲み、ラムネをかじりながら仕事。20名のお年寄りはそれぞれの時間割で動くので(ユニット型特養です)結構忙しい。5時になると起き出すので立ち止まることもなくなります。交代になる7時までずっと忙しかったのでした。
終わったら倒れてしまうかと思ったら、そうでもありません。家に帰り、風呂を沸かし、体を沈めます。時折、数秒眠りました。長湯から上がると眠るのがもったいなくなります。pcやスマホをみたり、だらだらと午前中の柔らかい光を味わいました。
贅沢な時間でした。昼過ぎになると本格的な睡魔がやってきたので2時間ほど眠ります。それで睡眠時間は十分。夜に普通に眠りました。
介護の夜勤は稼げて楽な仕事なのか?
夜勤でした。17時~7時。5000円の補助が付きます。
「稼ぎたかったら夜勤をやれ」というのは介護業界の常識。ぐるんと昼夜逆転して、稼ぎまくる人もいるようです。中には年収800万ってまじですか。
これによると「夜勤専門の派遣を2つ掛け持ちする」ということです。なるほど、それなら納得…って寝ないの?可能な限り動かないことで体力を温存しているらしいですが、介護の夜勤ってそんなに楽な仕事ではありませんって。上記リンクでは1か月で過労で倒れた人もいるようで、やっぱり甘い仕事ではないです。
他にも介護の夜勤を書いている漫画がありました。
こちらはデイケアのお泊りサービスの夜勤。面白かった。これから夜勤専門でがっつり稼ぐ介護男子が増えるとおもう。そしてガツンと減るだろう。
やっぱキツイもの。朝日が目に刺さる。モンスターエナジーが手放せない。今これを書いている間にも眠ってしまいそうだ。
帰宅願望のあしらい方について
施設、特に認知症が多いところだと帰宅願望との戦いになります。
初めて介護の扉を叩いてから、一番驚いたのがこれです。お年寄りたちの帰宅願望は想像をはるかに超える強さだったからです。
「帰る」を1日千回は発言しているような人もいます。そのたびに「帰れないよ」と答えてました。
ですが、いろいろ勉強してみて、それはあまり良い方法ではないということです。正直に、正しいことを言っても、帰りたい気持ちが無くなるわけではありません。むしろ「帰れない」と言われることで、より不安が高まります。
引き算、つまり嘘でいいから「帰れる」と伝えましょうとこの本に書いてありました。
良書です。帰宅願望のお年寄りの対応に苦しんでいる人におすすめ。特に、嘘をつくのに抵抗がある人、つまり正直な人にぜひ読んでほしい。良い人ほど傷ついてしまうのが介護ですよね。この本で自分を守りつつ、帰宅願望を抑える武器を手に入れましょう。
この方法のデメリットは、他の利用者さんにも影響することです。
「私も帰る!」となってしまうこと。
認知症の進行度合いにもよるのですが、おなじルーティンで対応します。
そして、対応しながら打開策を探るのです。
「お腹が空いているのか?」
「トイレに行きたいのか?」
「ヒマなのか?」
「運動したいのか?」
「寂しいのか?」
1つ1つ潰していきましょう。ご飯の話を振ってみたり、おかしをあげたり、トイレに誘導してみたり、面白いテレビ番組を流したり、散歩に連れて行ったり、昔話を聞いてあげたりします。
そんな時間はないよ!と思われるかもしれませんが、結局帰宅願望の利用者さんをほったらかしにすると、もっと手間や時間がかかることがほとんど。帰宅願望が他の利用者さんに伝播したり、怒り出したり、手が付けられなくなったり・・・そうなると、ちょっと話を聴くぐらいでは落ち着いてくれません。
帰宅願望に怒りが加わると、こっちのメンタルまでもっていかれます。「ここは牢獄か!帰る!!」ごもっともなご意見です。論理的に正しいし、自由を奪っているのはこちら側ですので、返す言葉もございません。 ごまかしながら、身体拘束をしないように、なんとか怒りを吐き出してもらうしかないでしょう。
怒りに対しては「遠くから見守る」しか解決策が見当たりません。他の利用者さんに害が無いように、暴れる怪獣の後からそっとついていくだけ。いい方法があったら教えてください。
親がアルツハイマーで認知症になったのならまずお金の管理をするべき
図書館で介護の本を読んでました。
とても面白かった。特に2000万あった親の老後の預貯金が、ほとんどタクシー代で使われたって話。
使い込んだのは父親で、ほとんどタクシー代。どこに?それがどこにもいかないのです。
認知症になった父親は、タクシーを呼ぶと助手席に座り、息子や娘の自慢話をします。そうして用もない場所に行き、タクシーで孤独を紛らわすのでした。
「でした」って書くとあっさりしてますが、介護者にとってはエライたいへんだったはず。アテにしていたお金がなくなり、有料老人ホームを使えなくなります。親の介護が始まったら、まずお金の管理をしなければと思いました。
前にも読んだ八万介助の介護漫画でも親の預貯金の管理でエライ苦労してました。90万のランニングマシーンが実家にあって「これでいつでも運動できる!」と嬉しそうに親が言います。もちろん、ランニングなんてできる体ではありません。
今日は休日だったので裁判傍聴(趣味)に行きました。そこでは受け子の裁判が行われてました。オレオレ詐欺の片棒を担いでしまった青年には気の毒ですが、被害者はもっと気の毒です。老後資金を奪い取ってしまったのですからね。でも認知症になると、特殊詐欺を見破るのは難しくなります。それは絶対、どんな人でも。