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介護施設で働くライターのブログ

帰宅願望のあしらい方について

施設、特に認知症が多いところだと帰宅願望との戦いになります。

初めて介護の扉を叩いてから、一番驚いたのがこれです。お年寄りたちの帰宅願望は想像をはるかに超える強さだったからです。

「帰る」を1日千回は発言しているような人もいます。そのたびに「帰れないよ」と答えてました。

ですが、いろいろ勉強してみて、それはあまり良い方法ではないということです。正直に、正しいことを言っても、帰りたい気持ちが無くなるわけではありません。むしろ「帰れない」と言われることで、より不安が高まります。

引き算、つまり嘘でいいから「帰れる」と伝えましょうとこの本に書いてありました。

良書です。帰宅願望のお年寄りの対応に苦しんでいる人におすすめ。特に、嘘をつくのに抵抗がある人、つまり正直な人にぜひ読んでほしい。良い人ほど傷ついてしまうのが介護ですよね。この本で自分を守りつつ、帰宅願望を抑える武器を手に入れましょう。

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帰宅願望対応チャート

この方法のデメリットは、他の利用者さんにも影響することです。

「私も帰る!」となってしまうこと。

認知症の進行度合いにもよるのですが、おなじルーティンで対応します。

そして、対応しながら打開策を探るのです。

「お腹が空いているのか?」

「トイレに行きたいのか?」

「ヒマなのか?」

「運動したいのか?」

「寂しいのか?」

1つ1つ潰していきましょう。ご飯の話を振ってみたり、おかしをあげたり、トイレに誘導してみたり、面白いテレビ番組を流したり、散歩に連れて行ったり、昔話を聞いてあげたりします。

そんな時間はないよ!と思われるかもしれませんが、結局帰宅願望の利用者さんをほったらかしにすると、もっと手間や時間がかかることがほとんど。帰宅願望が他の利用者さんに伝播したり、怒り出したり、手が付けられなくなったり・・・そうなると、ちょっと話を聴くぐらいでは落ち着いてくれません。

帰宅願望に怒りが加わると、こっちのメンタルまでもっていかれます。「ここは牢獄か!帰る!!」ごもっともなご意見です。論理的に正しいし、自由を奪っているのはこちら側ですので、返す言葉もございません。 ごまかしながら、身体拘束をしないように、なんとか怒りを吐き出してもらうしかないでしょう。

怒りに対しては「遠くから見守る」しか解決策が見当たりません。他の利用者さんに害が無いように、暴れる怪獣の後からそっとついていくだけ。いい方法があったら教えてください。